「か強診」から「口管強」への変更 ~令和6年度・歯科診療報酬改定~|歯科医院|ホームページ制作

結局どうなの!?「か強診」から「口管強」への変更 ~令和6年度・歯科診療報酬改定~

  • 歯科業界情報

投稿日:2025/03/25

最終更新日:2025/04/01

結局どうなの!?「か強診」から「口管強」への変更 ~令和6年度・歯科診療報酬改定~

これまで馴染み深かった「か強診(かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所)」が、「口管強(口腔管理体制強化加算)」へと改定されました(令和6年度・歯科診療報酬改定より)。では、この「口管強」とはいったいどんな制度なのでしょうか?

このコラムを通じて、歯科医院に従事されている方へ診療報酬改定の概要や口管強の届出を行うメリット・デメリットをお伝えできればと思います。

 

「か強診」から「口管強」へとバージョンアップ

まず、今回の「口管強」と「か強診」は全く別の制度というわけではありません。「か強診」をベースに新しくつくられたのが「口管強」なのです。

つまり、「か強診」で求められていた歯科医院としての施設基準を踏まえつつも、「口管強」で新規に求められる施設基準が追加されたと解釈できます。

では、「口管強」とは簡単にいうとどんな制度なのでしょうか?それは、「口管強」とは、乳幼児期から高齢期までのライフコースを通した継続的・定期的な口腔管理によって、歯科疾患の重症化予防に取り組んでいる歯科医院を評価する加算制度と言えます。

では、「口管強」ではどのような点が新しいのでしょうか?

これが”「口管強」の要件”

(1)歯科医師が複数名配置されていること又は歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。

(2)次のいずれにも該当すること。
ア.過去1年間に歯周病安定期治療又は歯周病重症化予防治療をあわせて30回以上算定していること。
イ.過去1年間にエナメル質初期う蝕管理料又は根面う蝕管理料をあわせて12回以上算定していること。
ウ.歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準を届け出ていること。
エ.歯科訪問診療料の注15に規定する届出を行っていること

(3)過去1年間に歯科疾患管理料(口腔機能発達不全症又は口腔機能低下症の管理を行う場合に限る。)、歯科衛生実地指料口腔機能指導加算、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料又は歯科口腔リハビリテーション料3をあわせて12回以上算定していること。

(4)以下のいずれかに該当すること。
ア.過去1年間の歯科訪問診療1、歯科訪問診療2又は歯科訪問診療3の算定回数があわせて5回以上であること。
イ.連携する在宅療養支援歯科診療所1、在宅療養支援歯科診療所2若しくは在宅療養支援歯科病院に依頼した歯科訪問診療の回数があわせて5回以上であること。
ウ.連携する歯科訪問診療を行う別の医療機関や地域の在宅医療の相談窓口とあらかじめ協議し、歯科訪問診療に係る十分な体制が確保されていること。

(5)過去1年間の診療情報提供料又は診療情報等連携共有料があわせて5回以上算定している実績があること。

(6)当該医療機関に、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理(エナメル質初期う蝕管理、根面う蝕管理及び口腔機能の管理を含むものであること。)、高齢者並びに小児の心身の特性及び緊急時対応に関する適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること。なお、既に受講した研修が要件の一部を満たしている場合には、不足する要件を補足する研修を受講することでも差し支えない。

(7)診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の診療所にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りではない。

(8)当該診療所において歯科訪問診療を行う患者に対し、迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者又は家族に対して説明の上、文書により提供していること。

(9)(5)に掲げる歯科医師が、以下の項目のうち、3つ以上に該当すること。
ア.過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績があること。
イ.地域ケア会議に年1回以上出席していること。
ウ.介護認定審査会の委員の経験を有すること。
エ.年1回以上、在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・診療所・介護保険施設等が開催する多職種連携に係る会議等に年1回以上出席していること。
オ.過去1年間に、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料を算定した実績があること。
カ.在宅医療又は介護に関する研修を受講していること。
キ.過去1年間に、退院時共同指導料1、在宅歯科医療連携加算1、在宅歯科医療連携加算2、在宅歯科医療情報連携加算、小児在宅歯科医療連携加算1、小児在宅歯科医療連携加算2、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料又は在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定した実績があること。
ク.認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講していること。
ケ.過去1年間に福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設又は介護老人保健施設における定期的な歯科健診に協力していること。
コ.自治体が実施する事業(ケに該当するものを除く。)に協力していること。
サ.学校歯科医等に就任していること。
シ.過去1年間に、歯科診療特別対応加算1、歯科診療特別対応加算2又は歯科診療特別対応加算3を算定した実績があること。

(10)歯科用吸引装置により、歯科ユニット毎に歯の切削や義歯の調整、歯冠補綴物の調整時等に飛散する細やかな物質を吸引できる環境を確保していること。

(11) 患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
ア.自動体外式除細動器(AED)
イ.経皮的動脈血酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
ウ.酸素供給装置
エ.血圧計
オ.救急蘇生セット
カ.歯科用吸引装置

なお、自動体外式除細動器(AED)については保有していることがわかる院内掲示を行っていることが望ましい。

※経過措置:か強診届出済の歯科医院は経過措置として、2025年5月31日までに限り、以下施設基準の項目を満たしているものとみなされるため、口管強の届け出は不要。
「(2)のイ及びエ」「(3)」「(6)」

※令和6年度診療報酬改定の概要 【歯科】(令和6年3月5日版)より引用
リンク先:001251542.pdf

「口管強」の要点
上記は厚労省の情報を引用しましたが、要点は以下の通りです。

・在宅医療を専門とする歯科医療機関は対象外:(2)-エ
・過去1年間の口腔機能の獲得、維持・向上に関する評価の算定実績が必要:
(3)
・歯科訪問診療の実施、連携実績または連携体制を確保する:(4)-ウ
・小児の口腔機能管理及び心身の特性等に関する研修を受講:(6)

冒頭でもお伝えしましたが、「口管強」とは、乳幼児期から高齢期までのライフコースを通した継続的・定期的な口腔管理によって、歯科疾患の重症化予防に取り組んでいる歯科医院を評価する加算制度です。

地域の患者さんの口腔環境を守るかかりつけ医として、地域医療事業者や介護事業者との連携を図ることが求められています。訪問歯科もその一つです。

 

歯科医院にとって「口管強」のメリットとは?

では、歯科医院にとって「口管強」のメリットとは何があるのでしょうか?一番のメリットは、売り上げの拡大にあると言えるでしょう。なぜなら、一部の項目では一般の歯科医院よりも高い点数を算定できるからです。

また、「口管強」であることを患者さまにアピールできることも信頼に繋がるので、メリットと言えるかもしれません

 

反対に歯科医院にとって「口管強」のデメリットとは?

デメリットとしては、算定できる点数が増えた分だけ患者さまの負担が増えることでしょう。患者さんにしっかりとご説明し、ご納得いただかないと不満に繋がる恐れがあります。

ただ、「口管強」は患者さまのメリットになる部分が多いため、しっかりとご納得いただきやすい面もあるかと思います。歯科医院のホームページや口頭などで、正しく患者さまにお伝えしましょう。

 

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。「口管強」について、概要をまとめましたがいかがでしょうか。新たな変更に戸惑うかもしれませんが、歯科医院にとっても患者さまにとってもメリットのある制度でもあります。

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