歯科タウン倶楽部通信

目標が医院経営の明暗を分ける

「よし、開業だ」

3年ほど勤務医経験を積んだときに、患者さんに慕われていたし、院長から治療技術は一人前だと太鼓判を押されたので、これなら独り立ちできる!と思って開業を決意したのですが、

患者さんは来てるけど経営が苦しい……
スタッフが定着しない……
設備を導入するお金がない……

開業から半年経ったところで、悩みが噴出。こうなるくらいならいっそ勤務医を続けていたほうがよかったと本気で後悔していました。

勤務医時代は、設備があってスタッフがいて患者さんが来てくれるのが当たり前。しかし、よくよく考えてみれば、その環境は自分が作ったものではありませんでした。開業後は自分が環境を整えなければいけないんだ、とはじめて経営者らしい考え方ができた瞬間でした。 そして、私は以前勤務していた医院を訪ねることにしました。

■大きな目標が経営の軸となりモチベーションになる

院長は私の話にじっくり耳を傾けたあと、「目標を持て」 と言いました。「環境を整えたいと考えているだけでは何も変わっていかないよ。目標を立ててそれに向かって頑張ることで、自然と環境は整っていく」

まずは医院をだす

「まずは、5年以内に分院を出すとか、年商1億稼ぐとか大きな目標を立ててみよう。大きな目標はそのままだと達成が難しそうだけど細分化すれば、無理なくクリアできる小さな目標になる。あとは小さな目標をひとつずつクリアしていけば、やがて大きな目標を達成するのも夢じゃない」

「それに、目標がないとそこにたどり着くまでのプロセスも見えてこないからステップアップを実感できない。日々の診療が同じことの繰り返しに思えてしまうんだよ。そうなるとつまらなくなって、モチベーションも下がってしまう。君もそういう感じなんじゃないのか?」

図星でした。院長は、私の状況を実に的確に言い当てました。私は院長のことを医師として尊敬していましたがこの話を聞いてみてはじめて院長の経営者としての偉大さに気づいたのでした。

院長のアドバイスが腹に落ちた私は、「5年後に分院を出す」という目標を立てました。スタッフにも目標を共有したところより良い経営をするための意見やアイデアも上がりみんなで一丸となって目標を目指す体制ができあがったのです。
――それから4年後の今、無事に売上目標値に達しており来年、分院を出せる予定です。

がむしゃらになって働けば、その苦労が報われると思っていましたがそれは幻想でした。
きっと院長から助言をもらわなければ分院は夢のまた夢だったことでしょう。

これから開業する皆さんも一度、「どういう医院を目指すのか」を真剣に考えてみてください。目標があれば、調子が良い時はステップアップが実感でき、調子が悪い時は問題に気づきやすくなるでしょう。

(インタビューアー:石井)