歯科タウン倶楽部通信

オシャレな外装デザインの罠

「デザインがパッとしないのが、いけないのかなぁ……」

開業をしたのは5年前。まだ近所に競合医院も少なかったせいか、開業当初から2、3年は順調に利益が伸びていました。しかしここ数年で右肩上がりだった経営は平行線をたどるように……。

一時は、赤字じゃないからいいかとも思ったのですが、よく考えた結果、やはり1階のビルへ移転してデザインも一新することを決意。店舗デザイナーをしている知人に相談して新しい医院はサロンのような雰囲気に仕上げてもらいました。

竣工し、イメージどおりのエステサロンのようなオシャレな仕上がりに。
・・・しかし、現実はそう甘くはありませんでした。開業から3日で、来院された患者さんはたったの6人。
1日あたり、2人しか来なかったのです。 

私はそんな状況をまったく受け入れられませんでしたが、何とかしなくては!と、大学時代の先輩に相談し、一度医院に来てもらうことにしました。

開口一番、先輩は私にこう言いました。

先輩「なんだここは……、お前は一体何を目指してるんだ……」

先輩はあきれた顔をしながら冷静な口調で私に向かって話しはじめました。

先輩「飲食店を探す時って、お前はまずどこを見る?どんな料理を出すのか、見ないか?
和食屋なのか、イタメシなのか、中華なのか。気になるだろ?」

S医師「そうですね、何を食べるか決めてから店を探しますね」

先輩「それって、歯科医院にも言えることなんだよ」

S医師「まさか……うちが歯医者ってことがわからない?……ということですか?」

先輩「そうだ。英字表記の看板に、こんなガラス張りの外装じゃ、パッと見たときに歯医者ってわからないだろ。飲食店と同じで、提供してくれるサービスがわからなかったらそもそも入ろうとは思わない。こんな外観じゃ、歯が痛い人がいても気づかずに通り過ぎちゃうぞ」

S医師「なるほど……。そういうことですか……」

先輩「歯医者ってわかるように改装したほうがいい。それに、お前は腕があるんだから、通ってさえもらえればすぐまた軌道に乗るだろう」

S医師「励ましのお言葉、ありがとうございます。ひとまず改装して、様子を見たいと思います」

先輩「ユニットも5台あるし、歯科用CTもある。セレックもオペ室もある。これだけ設備がしっかりしているんだから、本当はホームページかなんかで広告すべきだけどな。海外のH大学出身っていうのも謳えるしな」

S医師「なるほど、ちょっとそれも考えてみます」

先輩に相談してから、すぐに私は動きました。
デザイン会社を変更し、わかりやすさを重視したデザインに変更。歯科医院と大きく書いた看板を作り、歯と歯ブラシのロゴも刻印。通行人が遠目からでも歯医者だとわかるように、改装してもらいました。

すると、改装後は飛び込みでのご来院が1日に5~6件入るようになり、新患はみるみるうちに増え、かかりつけの患者さんもたくさん増えたのです。

私が今思うのは、「わかりにくい歯医者」はダメだということです。外観で歯医者とわからなければ患者さんは来てくれません。

デザイン会社もピンキリだと思いますが、すべてドクターの言いなりのところは良くないと思いますね。本当に医院のことを、売上のことを、考えてくれるところが理想的です。
ホームページなどで施工実績を確認するといいかもしれません。

移転や改装をお考えの先生は、ぜひ参考にして「わかりやすい歯医者」を目指してください。

(インタビューアー:石井)