歯科タウン倶楽部通信

激白!歯科医院の落とし穴 Vol.60 自費診療増加にもつながる?
カウンセリングルームの重要性

Wドクターは、父親の歯科医院を継いでまだ2年目。

これまでの勤務医としての経験を活かして自費診療を増やそうと、父親はやっていなかった治療法を取り入れ、医院のリニューアルとともにちょっとムリして最新設備を入れました。

しかし最近、自費診療の数が伸び悩んでいます。他の医院で磨いた技術も、設備にも自信があるのにどうしてでしょうか。

そこで、Wドクターは、数年前に開業した友人ドクターが学会の帰りに会いに来てくれたついでに、相談してみることに。すると、Wドクターは友人ドクターから意外な指摘を受けたのです。その指摘とはいったい何だったのでしょう。

友人ドクター「リニューアルして、随分きれいになったね! 設備もしっかりしてるし、万人受けしそうでいい感じじゃないか」

Wドクター「僕もそう思うんだけど全然増えないんだよ、患者さん。自費診療をどんどん増やしたいと思ってるんだけど、何がいけないのかな。院内をちょっと見てみてくれるかい?」

友人ドクター「――。僕の医院にあって、キミにところにないものが一つだけあるよ」

Wドクター「え?それは何?」

友人ドクターカウンセリングルームだよ」

Wドクター「ああ、カウンセリングルームは今までもなかったし、きっと使わないだろうし、必要ないと思ってリニューアルでもつくらなかったよ。それよりも設備投資をしたかったからね」

友人ドクター「それなら、これが患者さんが集まらない原因のひとつかもしれないよ。自費をメインにしたかったらカウンセリングルームは必須なんだ。患者さんは、僕らが思っている以上にドクターとの会話を他人に聞かれるのが嫌なんだ。プライバシーへの配慮は、しっかりしなくちゃいけないんだ」

Wドクター「そうなのか? キミはカウンセリングルームをちゃんと使ってるんだ」

友人ドクター「もちろんだよ。自費診療の説明なんて、ユニットスペースだけで十分にできるわけないんだ。患者さん自身が治療についてちゃんと理解していなかったら、自費診療を受けてみようなんて決断できないだろ?」

Wドクター「それは確かにそうだね」

友人ドクター「うちでは治療計画を丁寧に説明するから、ゴールが見えて、患者さんの理解も得やすくて、治療を進めるのが楽になるよ。医療はある意味、心理戦だからね。患者さんと話すときはマスクを取って、不安を抱えて来ている患者さんの悩みにきちんと耳を傾けることが大事。会話の説得力と安心感が増せば、自費診療だって決断してもらいやすくなるんだよ」

Wドクター「そっか。僕は診療時間と患者さんの回転効率ばかり気にして、説明は十分じゃなかったのかもしれないな。でも、これからつくるには場所が……」

友人ドクター「例えば、この院長室はどれくらい利用してる?」

Wドクター「そういえば……、診療中は空いてるし、診療後も仕事は家に持ち帰ってしまうからほとんど使ってないな……」

友人ドクター「それならここにパーテーションを置いて、奥を院長スペースにして、手前をカウンセリングルームに使ってみるのはどうかな。わざわざカウンセリングルームをつくらなくても、会話が他の患者さんの耳に入らないところなら大丈夫。あとは椅子とテーブル、パソコンとモニタがあれば十分なんだから」

Wドクター「なるほどね! どうもありがとう、早速考えてみるよ」

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Wドクターは、医院のスタッフと話し合って、院長室の一部を簡易的なカウンセリングルームにすることにしました。半個室であることや、診療ユニットからも離れていることから、患者さんとじっくり話しやすい環境をつくることができました。おかげで、治療内容について熱心に聞いてくれる患者さんが増え、自費診療も着々と増加していったということです。

インタビューアー:石井