歯科タウン倶楽部通信

激白!歯科医院の落とし穴 Vol.72 働き方は人それぞれ。
スタッフ採用のマッチング
最適化とは

Sドクターの歯科医院では、最近相次いで2人も歯科衛生士が退職し、新たにスタッフ採用を試みていますが、応募者と話をしてみてもなかなか求めている働き方をしてくれそうな人材に出会えず、困っています。自分では雇用条件は悪くないはず……と思っているのですが、どうしてでしょうか?

学会で久々に会った先輩ドクターに、スタッフ採用時に気をつけていることを聞いてみたところ、過去に採用したスタッフの驚愕の志望理由を教えてくれました。一体どんな理由だったのでしょうか?

Sドクター「今、医院のWebサイトで衛生士さんを募集しているんですが、なかなかいい人に出会えなくて……。条件は結構いいと思うんですが」

先輩ドクター「採用って難しいよね。うちも苦労したよ。でも実はやっと来てもらった衛生士さんが採用したあとでうちを選んだ本当の理由を話してくれたことがあって、それがかなり衝撃的だったんだ」

Sドクター「どんな理由だったんですか?」

先輩ドクター「医院のサイトに採用情報が載っていなかったから……だって」

Sドクター「?」

先輩ドクター「その時は、医院のサイトにまで手が回らなくて、歯科専門の求人サイトにだけに簡単な情報を載せていたんだけど、あえて、そういうところを選んで応募したそうなんだ」

Sドクター「よくわからないんですが……」

先輩ドクター「つまり、オフィシャルには情報がない、求める人材についても詳しく書かれていないってことは、あまり採用に力を入れていない……って思われたんだろうね。それはイコール、そんなに多くのことを望まれないのだろうと……」

Sドクター「ああ……なるほど」

先輩ドクター「実際、その人は技術もあってとっても仕事ができるんだけど、お子さんがいるから、仕事が忙しくなったり、勉強会に行けと言われたり、積極性を求められることを望んではいなかったんだって。だから、そういうことを書いていない、あまり特徴のない歯科医院に勤めたかったと。そんなふうに見られてしまったのは残念だったな」

Sドクター「そういう考え方もあるんですね。それは確かに驚愕です」

先輩ドクター「たとえ腕や経験があっても、仕事に対して誰もが積極的だったり前向きな人ばかりじゃないんだね。もちろん、『もっとこういうことができるようになりたい!』って言ってくれる人もたくさんいるけど、両極端なんだよね。今回はたまたまいい人に来てもらえたからよかったけど、勉強になったよ」

Sドクター「うちは今、オフィシャルサイトに採用ページを作って 医院の診療コンセプトだけでなく 『やる気と向上心のある人を求めます!』とか 『勉強会やセミナーへの参加費をサポートします』 『歯科助手から歯科衛生士の資格取得をサポートします』なんて 書いているんですが、本当は載せないほうがいいんでしょうか?」

先輩ドクター「いや、そんなことはないよ。無理していいことばかり載せる必要はないと思うけど、やっぱり、こういう医院にしていきたいんだっていう院長の考えは、とっても大事だからね。入ってもらってから『やっぱり違った』とすぐに辞められちゃう方がダメージが大きいから」

Sドクター「それに、こちら側としても合わなかったときに辞めていただきにくいですしね……」

先輩ドクター「あまりたくさんのことを要求しすぎるとお給料の良さよりもできる範囲で細く長く勤めたい人やブランクのある人には、ちょっとハードルが高いかもしれないってことも覚えておいた方がよさそうだね。面接の時にこちらの考えを押し付けずにどういう働き方をしたいのか相手の話もじっくり聞いてあげるといいと思うよ。もしかしたら宝物が眠っているかもしれないし」

Sドクター「そうですね。必ずしも条件に100%合う人がいるとは思わずに、譲れないところは譲らず、互いにどうしたら歩み寄れるのかをよく話し合ってみます。ありがとうございました」

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Sドクターは、そのあとに面接にやってきた衛生士さんから、医院の考えをしっかりと説明し、そのうえで本人の働き方の希望や歯科医療に関する向き合い方などをじっくり聞くことにしました。時間はかかったものの、事前にしっかりとすり合わせができたおかげで「こんなはずじゃなかった」という齟齬もなく、スムーズに仕事をこなしてもらえているそうです。

インタビューアー:石井

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