歯科タウン倶楽部通信

激白!歯科医院の落とし穴 Vol.65 仲良しだから口約束でも安心!?
いいえ、契約書は何よりも大切です

とある歯科グループのY理事長は、自院で働く非常勤ドクターが独立したがっているのを知り、ぜひ残ってもらえるようにグループの分院開院を提案してみたところ好感触。すると、いいタイミングで勉強会で仲良くなった高齢のMドクターから「引退しようと思っているから、うちの医院を居抜きで譲ってあげるよ」と言われ、早速話を進めることにしました。

ところが……開院予定日が近づくにつれて話がどんどんこじれてしまい医院を譲るのをやめる! と言われてしまい……。
Y理事長はMドクターとも交流のある友人に相談してみることに。

Y理事長「うちの非常勤の先生が独立したがっててね。腕もあるし、ちょうど分院をもう一つ増やそうと思ってたから、任せてみようと思って提案したら、ふたつ返事でOKしてくれたんだ」

友人ドクター「それはよかったね。物件は見つかりそうなの?」

Y理事長「それがね、勉強会で仲良くなったらMドクターが、そろそろ引退しようかなって、居抜きで今の医院を譲ってもいいって言うから、これはいい話だと思って進めてたんだけど……」

友人ドクター「どうしたの?」

Y理事長「せっかく開院のめどがたったのに急に『やっぱり譲りたくない』って言われちゃったんだ……」

友人ドクター「どうして?」

Y理事長「仲もいいし、口約束でいいかなと思って進めてたんだけど、細かい書類が間に合わなくてMドクターが望んでいるものを用意できなくて、いい加減だって思われちゃったらしいんだ」

友人ドクター「それはよくないね。医院の売買、譲渡は契約書が何よりも大事だよ。そこをうやむやにして、いざ譲り受けたらこちらが思ってたほど資産価値がなくて、全然割に合わなかったなんて話を聞いたことがある。あとでゴタゴタしないためにもまずは文書で残すべきだったね」

Y理事長「そうなんだよ。本当は、自費率とか、スタッフはそのまま雇うのかとか、レセプト量とか、集患数なんかの医院の情報も知らなくちゃいけなかったし、こちらもしっかり準備して契約を結ばなくちゃいけなかったんだよね」

友人ドクター「それから非常勤ドクターには、給料とか立場とか、どんな権限を持たせるのかとか示さなくちゃいけないし……きみだって、そういうところをきちんと進めて行かないと、もしかしたら自分に不利な条件かもしれないじゃないか」

Y理事長「事務長に任せていたんだけど、ちっとも進んでいなかったんだよ……。それから、今になって、『サイトのドメインは譲らないよ』って言われちゃって」

友人ドクター「え? どうして?」

Y理事長「もしかしたら、また始めるかもしれないからって」

友人ドクターサイトドメインは、古ければ古いほど価値があるから、新しいサイトをつくるのと比べて全然効果が違うんだよ」

Y理事長「そうだよね……。僕がしっかりと進めてたら今頃は……。どうしたらよかったんだろう」

友人ドクターまずは会計士に医院の企業評価をしてもらって、それをもとに弁護士に頼んで契約書をつくるのが最優先だったね」

Y理事長「そうだったのか……。仲がいいからと言って口約束ではダメなんだね」

友人ドクター「次回から気をつけなくちゃね」

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Y理事長は、Mドクターともう一度きちんと話し合うことに。
今度はしっかりと弁護士を通して契約書を交わし、なんとか分院開業にこぎつけました。開業日は少し延期することになってしまいましたが、非常勤ドクターもせっかくならしっかりと環境が整ってからのほうがいいと快諾してくれたので、今度はうまく進めることができたとか。

残念ながらサイトドメインは譲ってもらえず、新規開業に間に合うように新たにWebサイトをつくったそうです。

インタビューアー:石井