Vol.11 : 運用を見据えることが設備投資成功のヒケツ

Vol.11 : 運用を見据えることが設備投資成功のヒケツ

  • 激白!歯科医院の落とし穴

投稿日:2018/10/21

最終更新日:2019/11/11

Vol.11 : 運用を見据えることが設備投資成功のヒケツ

・最新の検査機器が出ました!
・安いインプラントがあります!
・女性に人気の美容系の新治療をはじめませんか?

当時の私は、セミナーや勉強会、業者のルート営業など、各方面から次々に新しい情報が入ってきて何をすればいいのかわからない状態でした。

もっとも、医院の経営自体は決して悪くなくほぼ同時期に開業した大学時代の友人よりもうまく医院を回せており、初めての開業としては上々だと感じていました。集患もできているし、リコールにも困っていませんでしたから。

でももっと利益を上げたいと、欲が出てしまったんですね……。

■悪循環を招いた設備投資

医療機器

開業3年目、黒字経営が続いてまとまった資金ができたので、以前から気になっていた設備の導入を行いました。
……しかしこの設備投資は、思わぬ結果をもたらしたのです。

初めはある検査機器を使って検査を行い、精度の高い治療を続けていました。でも検査機器の導入から数ヶ月後にベテラン衛生士から以前のやり方に戻したいという打診を受けたのです。

あんなに乗り気だったベテラン衛生士から、こんな消極的な意見が出るなんて……。
正直、ショックを受けましたが、そのときはベテラン衛生士を説得して検査機器を使うように指示をしました。

ですが、やがて他の衛生士からも同様の意見が出て、これはマズイと思い、衛生士を全員集めました。
「例の検査機器の使用に関して、どうぞ本音を言ってください」と私が言うと、ベテランスタッフがスタッフの総意を述べるかのように「前より時間がかかるので、あの機材は使いたくないんです」と、言いました。

思い返せば、検査機器の導入は私の一存で決めたこと。スタッフに機器の良さを伝えずにただただ使用してほしいと言っていただけだったのかもしれないと、深く反省しました。

それから私は導入した設備についてスタッフと意見を交わし、今後の設備投資についてもじっくりと話し合いました。

  • 設備の使い方を定める
  • 検査と治療の時間配分を設定する
  • 設備が混み合っているときの対応を決める

など、スタッフの疑問を解消しながら設備の運用ルールを一つずつ決めていったのです。
すぐにとはいきませんでしたが運用の体制を整備したことで、数ヶ月後にはスタッフ全体のモチベーションも回復し、その後は本音に耳を傾けながら順調に経営ができています。

この経験を通じて、設備投資は運用まで考えないとダメなんだなと気づきました。

そして、機材を理解する時間をしっかり持ち、それをスタッフに教える時間を持つことも必要だなと。買ったら、それで終わりではないんですね。

これは友人から聞いた話ですが、歯科医師の中にはレーザー治療器やマイクロスコープを導入しても、数年、早ければ半年程度で使わなくなる方もいるそうです。お金持ちの先生なら痛くも痒くもないのかもしれませんが、大半の先生にとっては大打撃となるはずです。
運用を見据えてルールなどを整備してから設備投資を行うのが賢い方法です。

私の周りを見渡すかぎり、やはりうまくいっている先生は運用まで考えられています。
設備投資の際には、ぜひ私が話した内容を思い出してみてください。

(インタビューアー:石井)

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