Vol.52:それって妥当?ある日突然、医院を譲り受けることになった
- 激白!歯科医院の落とし穴
投稿日:2018/10/21
最終更新日:2019/11/11
投稿日:2018/10/21
最終更新日:2019/11/11
半年前から、ある歯科医院の勤務医として働き始めた34歳のNドクターは、ある日突然、院長先生から、「この医院を継がないか?」との相談を受けました。そう、この院長先生は80歳とご高齢だったのです。
独立を考えたことがなかったわけでもありませんが、まだもう少し勤務医として働こうと思っていたNドクターは、突然の申し出に心が少しゆらぎました。ところが話を聞いてみたら、予想より高額な経費が必要になるようです。
安易に返事をしていいものか悩んでしまったNドクターは、同じような経緯で独立した友人ドクターに話を聞きに行くことにしました。
Nドクター「この間、院長に『ここを継がないか?』って突然相談されたんだけど……」
友人ドクター「お、さっそく見込まれたんだ! よかったね」
Nドクター「いや、もうご高齢だから、誰かに譲渡するか閉院するかずっと考えていたんじゃないのかな? お前も独立したし、僕ももうそろそろかなとは思っていたから、少し話を聞いてみたら、提示された法人の権利の売却価格が想像よりもだいぶ高額な気がして……」
友人ドクター「それは、誰が算出した金額なんだい?」
Nドクター「院長が頼りにしてる会計士だね。半年しか経っていないし、まだ十分に打ち解けた……というわけでもないから、わからないことも多くて返事をしていないんだ」
友人ドクター「なるほどね。居抜きのメリットは、新規開業にくらべて初期費用がかからないし、名義や医院名やが変わっても引き継ぎがスムーズってところだけど、院長が高齢だと設備も古い場合が多いから、一概にいいことばかり……とは限らないよね」
Nドクター「そうなんだ。僕と院長とでは治療方針や技術が違いそうだし……。提示された金額が妥当かどうか、どうやって判断したらいいのかわからなくて……」
友人ドクター「企業評価なんかを調査してくれる機関に依頼するのはどう? デューディリジェンスって言って、法務や財務、ビジネス、人事、環境、不動産やなんか、企業を多角的な観点から調査してくれるんだ。そういう第三者的なところに、資産価値の調査を依頼するのも一つの手だよ」
Nドクター「へぇ! セカンドオピニオンってことか。歯科医院もみてくれるの?」
友人ドクター「もちろん大丈夫だよ。それに、もし建物が老朽化ししてて水漏れの恐れがあったら、配管の修理なんかでさらにお金がかかるし……」
Nドクター「確かに、ぼくにはそんなこと見抜けないね……」
友人ドクター「ぼくらはついなじみのディーラーさんやなんかに頼ってしまいがちだけど、専門家に聞いてたほうがいいこともあるよ。例えば、ぼくは将来移転したいって考えているから、ついこの間、立地診断コンサルタントにいろいろ話を聞いてみたんだ」
Nドクター「なるほど。もし引き継ぐとなったら失敗したくないし、ぼくもちゃんと専門家に依頼してみるよ。アドバイスありがとう!」
Nドクターは早速、調査会社に依頼して医院価値を調べてもらいました。知り合いの会計士を通しながら、金額を交渉してみることにしたそうです。
院長側の会計士さんとも話し合いを続けながら、なんとか双方によりよい適正価格をはじき出して、Nドクターはこの医院を引き継ぐことにしました。予防歯科に力を入れていきたいと思っていたところだったので、内装はそのままに、設備を少し入れ替えて、スムーズに滑り出せたようです。